日本全国を旅する風俗評論家・岩永文夫氏が各地の裏風俗や温泉、酒、うまいもの、観光地などを紹介する旅情いっぱいのコラムです!
57.盛岡(岩手県)
よく聞かれることにフーゾクライターにとって全国各地の色街の中で、最も書きにくいところというか紹介しにくい場所は何処ですか? というのがある。
確かに日頃から全国津々浦々、面白く遊べるスポットは何処かいな? とか、ここはアナ場だな! とか、楽しく遊べるところばかりを探し歩いているフーゾクライターにとっては、この質問はかなりしんどい。
日頃の裏の発想というか裏道的な観方の質問なのだから、そうそう簡単にはこの問いに見合った答えは出てこないのだ。それでも敢えてということで、何処かを探すとなると県単位で眺めれば、やはり「イワテケ〜ン」ということになるのでは。岩手県にはフーゾクがありそうで無いのである。そして、無さそうである不思議な県なのだ。
というのも岩手の北にはニッポンでも屈指の遠洋漁業の水揚げを誇る青森県の八戸市がある。ということは時期になると冷凍マグロと一緒に漁師たち乗組員がドッと陸(おか)に上がってくる。連中の半年にも一年にも亘る長い船上生活で溜まりに溜まってしまったスペルマの吐け口は、八戸の飲み屋街だけでは到底片付くわけがない。それで隣県の岩手県は種市にあった、丘の上のソープランド「A」へと皆さん群れをなして通い詰めたのである。だが、この名物ソープも数年前に潰れてしまった。余談だが、こちらにお勤めしていた泡姫たちの多くはその後札幌のススキノへと河岸を変えていったようである。
同県には幾つもの湯治場と言えるような規模の小さな温泉がそれなりにある。勿論、そこには枕芸者の御姐さんたちがいて宿泊客の相手をしてくれる。記者などは毎年夏になると付近を流れる渓流に行って昼はルアやフライで釣りを楽しみ、夜は夜でお姐さんと楽しいひと時を過ごしたものである。
つまり岩手には、青森県境に近い鄙びたソープランドがあり、県内各所に素朴な温泉がポコポコと湯を湧出させながらスケベな客が網に引っ掛かるのを待っているのだ。
そして県庁所在地の盛岡には、一軒のソープランドと十数軒ほどのホンサロに近いピンサロがあるくらいだ。今から二十年前ぐらいになってテレクラがかなり人気になった。御当地のテレクラに電話をしてくる人妻は、他所と違ってかなり飢えているマジにヤリたがっている人妻が多かった。ここのところ記者は盛岡に行ってないが、おそらく、この種の女性は現在も多いはずである。
ということは、岩手で注目すべき遊びとなると素人の人妻たちでセックスにも日常生活にもヒマしている連中を相手にしてのテレクラごっこではないだろうか。
なかには電話をして待ち合わせる、などという面倒なことが出来ないようなせっかちな奥さんもいた。こちらが二階の個室で話していると、すぐ階下の入り口の横にある公衆電話からTELしてくる女性もいた。ともかく大っぴらになるようなフーゾクはないけれど、こっそりと楽しむ遊びが幾つかあるのが岩手なのである。
そして現在は、というと種市のソープは消え、山間の鄙びた温泉からは枕芸者が居なくなり、県庁所在地のテレクラも以前ほどの勢いがなくなっているように見える。やっぱし記者がいかないわけだ!
で、今は全国の都市と同様ホテルを利用してのデリヘルが街中にあるくらい。これだと札幌に行こうが、仙台で遊ぼうが、宇都宮で買おうが何処も同じ。
もっと街の個性が出ているフーゾクってないのかなあ?
やはり御当地は小岩井牧場のバターと八幡平の紅葉でも眺めて暮すのが賢明なのかも知れない。それでもバターよりもバター犬のほうが好きだって? ま、それはそれでいいでしょう。アンタも好きねえ。
この際だから言っておくけど、どうせ御当地で遊ぼうというのなら「性遊」よりは「清遊」のほうがEと思うよ。なんたって三陸海岸の海の幸あり。奥羽山脈や北上山地の山の幸あり。そのうえに、うまい地酒が町ごとにある。これらを無視してイワテケ〜ンは語れないだろう。スケベは、ちょいと脇に置いておいてね!